前回,『なぜ基本・基礎が大切か?〜人生最大の挫折』で私の落ち込むパターンについてお話しました.
今日は,成功のパターンについてお話します.
国家試験に落ちてしまい,落ち込んでばかりはいられません.
『なぜ上手く行かなかったのか?』を自分なりにしっかりと分析しました.
1. ピークの持っていき方を間違えた
2. 自分にあった勉強法が確立できていなかった
3. メンタルマネージが不十分であった
当初,最初の2つが大きな要因であったと考えましたが,今は3つめも大きく占めていたと思います.
1. ピークの持っていき方を間違えた
当時は,8月から月に1度,計4回の演習試験と,2回の卒業試験で卒業が決まりました.
薬学部で勉強することは,『有機化学』『生化学』『物理化学』『衛生化学』『薬理学』『病態・薬物治療』『薬剤学』『法規・制度・倫理』『実務』など範囲は多岐に渡ります.
『薬剤師』は『pharmacist』が一般的な訳ですが,『chemist』『pharmaceutical chemist』と呼ばれる所以は,薬だけではない『〜化学』の知識も有する部分が大きいと思います.
演習試験+卒業試験では,これらの範囲を全てカバーしなければなりません.
もちろん,5年半これらの範囲を深めるために相当な時間・努力を重ねて勉強してきたわけですが,一気にその知識を,しかも複合的にアウトプットするにはそれなりの勉強方法が必要です.
現在,薬科大学(薬学部)は国公立大学と私立大学を合わせて74大学あります(2019年時点).
『学ぶ内容』は同じですが,『誰から学ぶか』『どのように学ぶか』はそれぞれ違います.卒業試験は,それぞれの大学独自に設けた試験基準,試験内容,試験規定を設けていますが,国家試験は厚生労働省によって一律に決められており,受験者は,全て同じ条件で試験を受けます.
本来ならば,薬剤師になるために合格するべき『国家試験』受験時をピークにする必要があったのですが,私は『卒業試験』に重きを置きすぎていました.そして,卒業試験で卒業が決まって,どこか気が抜けてしまったのだと思います.
もちろん,国家試験当日まで一生懸命勉強しましたが,気持ちに緩みがあったのだと思います.
さらに,過去の先輩などの『卒業試験に合格すれば国家試験も大丈夫』という言葉から,自分も卒業できたのだから大丈夫だろうと過信していました.
でも,その年の国家試験は例年になく難易度が上げられ,最終的な合格率は60.8%と例年と比べて2割も下がりました.例年よりも厳しくされた基準によって,私は振り落とされたのです.
もし,国家試験にピークを持っていけていれば受かっていたかもしれません.
だから,2回目に向けては国家試験をピークに全てを考えました.
2. 自分にあった勉強法が確立できていなかった
それまでも,なんとなく自分なりの方法を決めて勉強をしていはいましたが,自分よりも点数の良い人がやっている事を聞くと,そちらに手を出してみたりとフラフラしていました.
私は自分のやっていることに自信が持てなかったのです.それも大きな要因.
次の1年間に向けて私は,過去問題を徹底的に分析しました.
『どの分野の,どの範囲が問題として採用されているのか?』
『どんな選択肢があるのか?』
『この選択肢を作った出題者の意図はなんだろう?』
これらを分析することは相当な時間を要しましたが,徹底して行うことで,自分が勉強するべき方向性を見つけることができました.
私は性格上,完璧主義者で『全て納得が行くまで,完璧に理解できないと,覚えた気がしない』のです.
100%の理解が1から10まで知っている,とすれば,私はたとえ1~8まで知っていても,私の理解は0%!と捉えてしまう癖があります.All or Noneです.
80%知っているんだから,上出来!とは思えないのです.
だから,かなり細かい部分まで『気になって』しまって,『調べる』.その繰り返しが私には非常に重要です.
1年目の時は,目の前にある課題をとにかくこなすことに精一杯で,そんな余裕はありませんでした.『なんとなく分かった』『とりあえず理解しているつもり』.でも,自分の中では『納得のいかない』要素が多かったので,自信が持てていませんでした.
そこで,2年目は『自分の納得の行くまで調べて理解する』を徹底しました.
この作業を繰り返すことで,もちろん全て100%理解まではなりませんでしたが,自分なりの理解をできるようになったことが安心材料となり,自信に繋がりました.
3. メンタルマネージが不十分であった
演習試験や卒業試験の時期になると,本当にメンタルがやられます.
これは,私だけではなく,ほぼ全員に当てはまるのですが,極度のストレスとプレッシャーにさらされるためです.
私は,卒業試験まではなんとか踏ん張ってやっていましたが,やはり,周りの友達と比べてしまったり,理解度が違うとその度に動揺していました.
そこで,リカバリーする力があまりなかった当時の私は,かなり多くの時間を『落ち込む』ことに時間を費やしていました.
ただし,1度落ちたという経験は,すぐに払拭できるものではありません.今でも,『人生最大の挫折』というくらい人生に大きな影響を与えました.
2度目に合格する道はかなりのプレッシャーでした.『次は絶対に合格しなければ!』その思いが試験が近づくにつれて強くなっていきました.
そのプレッシャーやストレスからの解放されるために,1日の最後にはお風呂に入って,その時だけは勉強しないと決めたり.大好きな料理をしてストレスを発散したり,色々な方法で平常心を保とうと努力していました.
自分がリラックスできる方法を知っておくことは本当に重要です.
やっと手に入れた合格
人がやっているからと言って,自分もやってみて合うかは,分かりません.
なぜなら,一人ひとり,生まれた場所,育った環境,勉強してきた環境が違い,何を当たり前と捉えているかの『スタンダード』が違うからではないでしょうか.
自分に合ったものはどんどん取り入れ,それを突き詰めることが重要だと思います.
私は,2年目に無事,薬剤師国家試験に合格しました.
2年目の第100回の合格率も63.2%と,容易な道ではありませんでした.
でも,私が2年目に向けて取り組んで得られたものは,『合格』だけではありませんでした.
それは,『勉強することの面白さ』を知ったことでした.
1年目は必死に,がむしゃらにひたすら与えられた目の前の事を行っていて苦しい感情も大きくあったのですが,2年目は自分が納得のいくまで理解できるプロセスが楽しくて,『分かっていくこと』『理解してくこと』が楽しかったのです.
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